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ヨーロッパフリーランス物語 ハンガリーのゲーム会社で翻訳の仕事をした話 中編

 

先日、僕が日本語版の翻訳とテストをしたこのゲームが日本で発売された。

Youtubeでゲーム名を入力するとなんと日本人の何人かのYoutuberがこのゲームを実況している動画がありびっくりした。

コメント欄には「なかなか面白いゲームだ」といった好意的なコメントが多く、内心びっくりしたがうれしかった。

 

僕は仕事でも大学時代の課題でも一度にまとめてやることはしない。例えば、課題が10ページあり期間が1週間あれば1日1ページ半やるようにした。僕は飽きやすい性格なのでその方が長続きするし、ダレなくて済む。

 

会社から渡された30の翻訳ファイルと100を超えるテスト項目を1か月という期間で分ける作業から始めた。30と100という数字はかなりの量だが1日ごとの作業量にしてみればそこまで大変ではない。

 

作業が終わり、さっそく翻訳ファイルに取り掛かった。

 

翻訳ファイルにはキャラクターたちが話すセリフやアイテムや技の名前、画面上の表示などがすべて英語で書かれていた。これをすべて日本語に翻訳しなければならない。なかなか骨が折れる仕事だ。

 

今まで翻訳の仕事はいくつかしたことがあるがゲームの翻訳は初めてだった。そして、この仕事でゲームの翻訳がいかに大変なのかを知ることになった。

 

僕がハンガリーのIT企業でユーザガイドを翻訳していた時はわりとすらすら翻訳することができた。というのも、決まりきった文章や単語がほとんどだからだ。一方、ゲームの場合は違う。例えば、技名1つとってもお決まりの翻訳はない。つまり、自分で作らなければならないのだ。

 

また、単語1つとっても翻訳を決定するのが難しい場面が多かった。例えば、"Beast"という単語を訳さなければいけない場面では①ビースト、②野獣、③モンスターの3つの翻訳で悩んだ。

 

英語では"Monster"ではなくわざわざ"Beast"となっているから製作者側の意図からすればモンスターよりはビーストや野獣のニュアンスを出したいのかもしれない。ただ、日本人がプレイした場合、ビーストや野獣よりもモンスターのほうがしっくりくるのではないか。いろいろ考えながら1つ1つ翻訳を決めていった。

 

こういった地道な作業を繰り返しなんとか翻訳の作業は終わった。初めてのゲーム翻訳にしてはなかなかましだったと思う。

 

次なる敵はテストの仕事だ!