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1日目 両親と飛行機

 

僕と彼女は空港で両親を待っていた。

 

羽田空港の飛行機の出発情報を見ていると、飛行機は無事に飛び立ったものの搭乗開始時間は30分早まったらしい。両親はそのことに気づいて早めに空港について無事に飛行機に乗れたのだろうか。

 

両親は今回ターキッシュエアラインを使ってハンガリーに来る。日本からハンガリーへの直行便はないのでイスタンブールで乗り換えるのだが、乗り換え時間は2時間もない。降りたら保安検査場も通過しないといけないだろう。そして、イスタンブール空港は広いだろうから無事にイスタンブールからハンガリー行きの飛行機が出る搭乗口につけるだろうか。いろいろなことが心配になった。

 

空港の飛行機の情報版を見る。両親を乗せた飛行機は無事にハンガリーに到着した。出口から次々にお客さんが出てくる。2人はまだだ。今かいまかと両親を待つ。すると、出口のドアが開き見慣れた顔が出てきた。自然と笑みがこぼれた。2人のもとに駆け寄り、彼女を両親に紹介し、宿泊先のホテルに向かうためのバスに乗るためバス乗り場へと向かった。

 

チケットを渡しバスに乗る。すると、母が彼女に"May I have your name?" (名前を聞いてもいいですか?)と英語で聞いていた。母は僕が小さいときから町の公民館で開かれる英会話教室に通っていたり、自分でも英語の勉強をしているのを僕は知っていた。夏に仕事を辞めて、本格的に英語の勉強をし始めたこともしっていた。だから、母が英語を話せることに驚きはなかったが、"What is your name?"ではなく、"May I have your name?"と初級レベルではない英語を使ったことにびっくりした。母の英語力は僕の予想以上に高かった。

 

ホテルに向かうバスの中で2人があやうく羽田からイスタンブール行きの飛行機を乗り損なうとこだったと聞いた。自宅から空港まで車で行くのだが空港の駐車場は高いため空港の近くで安い駐車場にとめることにしたらしい。飛行機が夜遅い便のため駐車場につくのも夜遅くになってしまい通常は駐車場はすでに閉まってしまっている。ただ、電話で到着する時間を伝えたら駐車場を開けてくれるようだ。父はすでに見つけた駐車場にあらかじめ到着時間を伝えていたのだが、前日になりもっと安いところを見つけたようでそっちに駐車しようとした。ところが、到着時間を知らせる電話をしなかったため駐車場は閉まっていて駐車できなかったらしい。幸い、近くに開いている駐車場があったためそこに車をとめて飛行場にむかった。なんとか空港には着いたものの搭乗時間が30分早まったのをそのときに知り、かなりあわてたという。ただ、結果的には無事に搭乗でき、ハンガリーに到着できた。結果オーライだ。

 

車中で母がイスタンブール空港で円をユーロに両替したといいレシートを見せた。しかし、その数字がどうもおかしい。5000円渡したのに対して500ユーロをもらったという。500ユーロは日本円で約6万円だ。5000円渡して6万円相当のユーロをもらったことになる。そんなバカな話はない。母にもらったユーロを見せてもらうと、いくつかは確かにユーロの紙幣であったがその間にトルコリラが入っていた。両替所でおそらく相手にはわからないだろうとユーロとトルコリラをミックスされて渡されたのだろう。なんともふざけた両替所だ。

 

バスを降りて、地下鉄に乗る。ハンガリーには自動改札機はないので2人は買ったばかりの1週間用の定期券を駅員に見せる。2人にとっては新鮮な出来事だろう。

 

地下鉄を降りるとホテルはすぐそこだった。チェックイン時間になっておらず部屋の準備ができていなかったようなので時間まで近くのコーヒーショップに行った。母親はミルクが少なめのコーヒーが好みのようだが、ハンガリーにはそういうコーヒーはないようで頼んだコーヒーにはミルクが大量に入っていた。コーヒーを飲まない僕には味の違いがわからない。父は眠そうにしている。そりゃそうだ。日本を夜に経ち、ブダペストについたのは朝の8時。時差ぼけもあるだろう。

 

チェックインの時間は昼の12時でまだ時間があったのでフロントに荷物を預け、鎖橋や王宮を見学することにした。近くまでバスや電車でもいけるが、せっかくだから街並みも生で楽しんでもらうために歩くことにした。王宮は今じぶんたちがいるところからドナウ川をはさんで反対側にある。

 

徒歩で約1時間の道のりだ。たった今10時間以上の長距離フライトを終えた人に対するプランではない。でも、2人は楽しんでくれた。フと父が「ドナウ川を船でクルーズしたい」と言い出した。ドナウ川には観光客用のクルーズ船はいくつもある。船が出ている場所に行き、チラシをもらった。ランチクルーズやディナークルーズなど様々なタイプがある。ホテルでも予約できるようなのでチェックイン時に予約することにした。

 

鎖橋を渡り、王宮へ向かう。その前に腹ごしらえだ。時間は12時を過ぎていた。近くのレストランへ行き昼食を取ることにした。両親にとってはハンガリー料理は初めてだ。油ものが苦手な母にはマッシュルームを使ったシチューを注文し、父はハムとチーズが入ったフライを頼んだ。料理がテーブルに運ばれ、初めてのハンガリー料理を2人は口に運んだ。母のシチューはおいしかったようだ。父のフライもおいしかったようだが、想像していたのとは少し違ったようだ。そこで僕が注文したハンガリーの名物料理のビーフシチューをあげるとこっちのほうがおいしかったようですぐにたいらげていた。

 

バスで山をのぼり王宮に到着した。観光客でごった返している。父は食事もとりもう眠そうだ。ハンガリーはまだ昼の2時ごろだが日本は夜の9時をまわっている。父は「もう寝る時間だ」と冗談交じりに言っていた。王宮は山の上にあり、ブダペストの街を一望できる。幸い、天気もよかったのでブダペストのきれいな町並みを見ることができた。

 

時刻は4時をまわりまだまだアクティビティーをする時間はあったがさすがに2人の体力が限界をむかえたので、ホテルに戻ることにした。フロントでチェックインをし、ついでにディナークルーズの予約をする。クルーズにはハンガリーの民族舞踊ショーもついているらしい。彼女の分も予約してくれた。彼女はハンガリー人だが、ドナウ川クルーズは一度も体験したことがないらしく喜んでいた。

 

明日は朝、国会議事堂に行き、夜はディナークルーズだ。集合時間と場所を確認し、2人が持ってきてくれたお土産をもらい僕と彼女は家に帰った。