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再会

昨年末、一匹の白い子猫を助けた。

仕事が終わり、家路についているといきなり見ず知らずのハンガリー人の女性に声をかけられた。英語が話せないようなので、僕のつたないハンガリー語でコミュニケーションをとってみる。

どうやら「白い子猫を見つけたようなのだが、自分はこれからバスに乗らなければならずなにもしてあげることができないから。でも見たところ、この子猫は野生の猫ではなく飼い猫だから助けてあげてほしい」と言っているようだ。僕らの足元には吹いたら飛んでしまいそうなほど小さな黒の斑点をところどころにつけた白猫がいた。

ふと昨夏のクロアチア旅行思い出した。泊まっていたマンションのドアの前で小さな黒い斑点をつけた白猫を見つけた。僕はこの子を部屋の中に入れ、クロアチアにいる間ずっと世話をし、同時に飼い主を探そうと彼女と奔走した。結局、飼い主は見つからず、ハンガリーに連れていくこともできないので泣く泣くドアの前に帰すことしかできなかった。

この子猫はあの時の子猫とよく似ていた。きっと何かの縁なのだろう。それに無類の猫好きの僕がこの願いを断ることはできかなった。子猫を家に連れて帰り、彼女に相談した。彼女は猫の保護をお願いしてきた女性が実は飼い主で本当はこの子を捨てたかったのではないかと疑っていたが、一緒に飼い主を探すために協力してくれた。SNSのグループに子猫の写真をあげた。すると、すぐにコメントがついた。どうやら、近くに住む家から逃げ出してしまった子猫のようだった。

コメントをしてきた飼い主の人と待ち合わせ、子猫を渡した。名前も性別もわからないこの子との時間は1時間も満たなかったがとてつもなく寂しかった。

 

あれから年が明け、4か月がたったある春の日、実はその飼い主さんが一軒家をはさんだところに住むご近所さんであることを知った。いつか会えるかなと思いながら家の庭に立っていると隣の庭にこっちを見つめる白い物体があるのに気付いた。

あの時の猫だった!

あれから4か月たち、もう子猫ではなかった。名前はキティーで、性別は女の子だという。今では外に出ても迷わず自分の家に帰れるようになっていた。わが子の成長が親にとって何よりもうれしいというのはこういうことなのかもしれないとしみじみ思い、つかの間の再会を楽しんだ。