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0日目 両親がハンガリーにやってくる

9月のある日、妹経由で母から「近いうちにハンガリーに遊びに行ってもいい?」という連絡がきた。「いいよ!」と返す。すると、今度は父から旅行日程が書かれたメールが送られてきた。両親は11月の頭にくるようだ。

 

同棲している彼女に両親が来ることを伝えると興奮しながらも緊張していた。プレゼントになにを渡せばいいかとか、なんて挨拶すればいいかとか、何を着ればいいかとかまだ会うのは2ヶ月も先なのに心配していた。

 

僕も僕でいろいろ心配した。両親はヨーロッパへの旅行はかなり久しぶりなので、乗り継ぎ先の空港で迷わないか、言葉は通じるか、麻薬の売人にスーツケースを渡され安易に受け取らないかなど子供ながらに心配した。

 

両親も両親でハンガリーの冬は寒いか、いくら両替したらいいかなど心配していた。ただ、それ以上にケータイのことで心配していた。両親はケータイをあまり使わない。ケータイ自体持ち始めたのは僕が大学生になったときからで、スマホではなくガラケーをずっと使っている。

 

しかし、日本では近々ガラケーがサポートされなくなるようでこれを機に両親はスマホに変えるのだという。ただ、ケータイ音痴の両親はケータイショップで使い方の説明を聞いてもほとんどわからなかったようでそれを心配していた。

 

ケータイのプランには海外でも使える海外プランなどがあるがそういったことはなにもわからないようなので、とりあえず、飛行機に乗ったらケータイを機内モードにすることとブダペストの空港には出口はひとつしかないのでそこで待ってるから確実に会えること、そして宿泊先のホテルではインターネットに繋げるので2日目以降の待ち合わせの連絡は問題なくできることを伝えた。

 

両親は5日間ハンガリーに滞在する。母からのリクエストでブダペストにある世界一綺麗なマクドナルドと別のヨーロッパの国にも行きたいと言われた。そこでブダペストからバスで簡単にいけるウィーンに日帰りで行くことにした。ウィーン旅行を3日目にして、残り4日のプランを練る。国会議事堂や鎖橋、英雄広場など定番スポットを盛り込んだ。しかし、それでも2日もあればブダペストのスポットは回りきれてしまう。そこで1日はブダペストの隣町に行くことにし、もう1日は僕の住んでるとこに来て暮らしぶりを見てもらうことにした。

 

会社から5日分の有給休暇も無事にもらえた。

 

準備万端だ。あとは両親が来るのを待つだけ。緊張はしていなかったし、親がハンガリーに来るという実感もなかった。ただ時間がいつものように過ぎていった。無事に会えるかとか麻薬を渡されていないかといった心配事は相変わらずあったが、彼女と両親の対面の日が近づくにつれて3人がうまくやれるか不安になった。彼女は日本語を話せない。母は少し英語を話せるが父はさっぱりだ。もし、沈黙が続いたらどうしよう。両親の前で僕と彼女が喧嘩したらどうしよう。悩みのタネはいたるところに落ちていた。

 

そんなことは関係なく時間は流れていき、ついに両親がハンガリーに来る日を迎えた。