2022/5/16 (侵攻81日目)
・ウクライナ国防省は、同国軍が東部ハリコフ州から露軍を撤退させ、ロシアとの国境地帯まで到達したと発表した。
・マクドナルドは、30年以上展開していたロシア市場から撤退する方針を発表した。地元の買い手への事業売却を検討している。同社はロシアで商標の保持は続けるものの、ロゴなどの使用をやめる予定。買収が完了するまで約6万2000人の従業員への給与支払いは続ける。
・ロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構」は、モスクワでサミットを開催した。ロシアは同条約の締結30周年を記念するサミットだとしているが、ウクライナ侵攻で米欧側との対立が決定的となる中、同盟国との結束を確認し、国際的に孤立したとのイメージの払拭や対露制裁の打破を狙う思惑だ。
・ウクライナ軍参謀本部は、露軍が現在、ドネツク州での前進に注力しているとする分析を発表した。東部ハリコフ周辺から露軍を撤退させたウクライナ軍は、ドンバス地域の玄関口に当たる要衝イジュムの奪還に向けて前進を開始。ウクライナ軍はイジュムを奪還し、ドンバス地域で反攻を行う構えだ。
・英BBCは、プーチン大統領とゲラシモフ軍参謀総長がウクライナ東部ドンバス地域でのロシア軍部隊の移動指示に直接関与しているとみられると伝えた。前線での攻撃や軍事作戦に関する戦略的な決定は通常、国家指導者や軍の制服組トップではなく、より位の低い軍の大佐や准将級が行うものとされる。
・アゾフスタリ製鉄所から負傷した兵士らの退避が始まった。ウクライナ軍が明らかにした。ロシア国防省は兵士退避のための一時的休戦でウクライナ側と合意したと発表。
・ロシア軍の退役大佐が国営テレビの番組で「状況は間違いなく悪化していくだろう。全世界が敵になっている」とウクライナ侵攻について批判を展開した。ホダレノク氏は侵攻開始前から「ウクライナとの武力紛争はロシアの国益にならない」と警鐘を鳴らしていたという。
2022/5/17 (侵攻82日目)
・ロシア前大統領のメドベージェフ安全保障会議副議長は、ロシアの核兵器は「近代化され、信頼でき、効果的」な状態にあるとし、侵略を受けた場合には反撃に使用すると述べた。
・ウクライナ国防省のマリャル国防次官は、南東部の激戦地マリウポリのアゾフスターリ製鉄所からロシア側支配地域に退避した兵士について、ウクライナが拘束しているロシア兵捕虜との交換を求める考えを示した。一方、ロシア側は交渉に消極的とみられ、実現の可否は見通せない。
・国連のドゥジャリク事務総長報道官は記者会見で、ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所からの兵士の退避について、国連は関与していないと明らかにした。
・国際刑事裁判所のカーン主任検察官は、ロシアのウクライナ侵攻を巡る戦争犯罪の疑いを捜査するため、42人の捜査員、法医学専門家、支援要員から成るチームをウクライナに派遣したと発表した。現地派遣としては「過去最大」だとしている。
・米国務省は、ウクライナに侵攻したロシアの戦争犯罪や残虐行為の証拠となる公開情報を収集し、ウェブサイト上で公開する新たなプロジェクトを開始したと発表した。衛星画像やソーシャルメディア上の情報を分析、保存するため約7億8000万円の資金を投じるとしている。
・ゼレンスキー大統領は、カンヌ映画祭開幕式でオンライン演説した。ヒトラーを風刺したチャーリー・チャップリン監督の米映画「独裁者」に言及し、「映画界には新しいチャップリンが必要だ」と訴えた。
2022/5/18 (侵攻83日目)
・ブリンケン米国務長官は、ロシアのウクライナ侵攻に先立つ2月中旬から業務を停止していた同国首都キーウの米大使館を約3カ月ぶりに再開したと発表した。
・ゼレンスキー大統領は、発令中の戒厳令を90日間延長するための大統領令に署名した。総動員令も同期間延長する。戒厳令、総動員令ともに延長は今月25日から。議会の承認を経て発令される。政府は移動などの国民の私権の制限や、予備兵、徴兵対象者の招集などが引き続き可能になる。
2022/5/19 (侵攻84日目)
・岸田首相は、ウクライナを支援するため、新たに約384億円の借款を行う考えを表明した。世界銀行と協調して実施する。
・ロシアが侵略に乗じてウクライナで農作物を盗み、船で積み出して中東やアフリカへの販売を試みている疑いが浮上した。中東・アフリカには両国の穀物に依存する国が多く、ロシアが盗んだ作物の産地を偽装して売り込みを図るとの見方もある。
・ウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問は、ロシア軍の占領下にある南部ザポロジエ州メリトポリで反露武力闘争が行われていると明らかにした。
・ロシア国防省は、ゲラシモフ参謀総長と米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長が同日電話会談し、ウクライナ情勢などを協議したと発表した。会談は米国側の要請で行われたとしている。
・ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事は、ロシア軍が同州セベロドネツクへの砲撃を続け、少なくとも12人が死亡、40人が負傷したと明らかにした。セベロドネツクは、ルガンスク州でウクライナ政府の管理下にある重要都市。ロシアは東部ドンバス地域の完全制圧を狙い、同都市への攻勢を強めている。
・米国防総省高官は、ロシア軍が侵攻するウクライナ南部のミコライウとヘルソンの間で、両国軍による戦闘が続いているとの分析を明らかにした。
・ロイター通信は、米政府が高性能の対艦ミサイルをウクライナに供与することを検討していると報じた。供与が検討されているのは、米ボーイング社製の「ハープーン」など2種類。ただし、操作の習熟に長期間の訓練が必要なことや保守の難しさから、供与に慎重な見方もあると伝えた。
・中国やロシア、インドなど新興5カ国(BRICS)は、オンライン形式で外相会合を開いた。議長を務めた中国の王毅国務委員兼外相は「武器を送ってもウクライナの平和には換えられない」と述べ、ウクライナへの武器供与やロシアへの経済制裁を進めるバイデン米政権など西側諸国を牽制した。
2022/5/20 (侵攻85日目)
・ロシアのショイグ国防相は、ロシア軍の支援を受けて親露派が支配地を広げているウクライナ東部ルガンスク州全域の制圧が「近づいている」との認識を示した。
・ロシア国防省は、ウクライナ東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所に残っていたウクライナ部隊の最後のグループ531人が投降し、ショイグ露国防相が同製鉄所の完全制圧をプーチン大統領に報告したと発表した。
2022/5/21 (侵攻86日目)
・フィンランドの送ガス会社ガスグリッドは、ロシアからの天然ガスの供給が停止したと発表した。供給元のガスプロムと代金支払いを巡って対立していた。フィンランドが18日に米欧の軍事同盟、NATOへの加盟を申請しており、ロシアの報復措置の可能性もある。
・ロシア外務省は、バイデン米大統領を含む計963人の米国人のロシア入国を禁止すると発表しリストを公表した。ウクライナ侵攻を背景とした米国の対露制裁への報復措置。
・ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は、ロシア軍により州内のリマンやミコライフカなどで市民計7人が殺害され、10人以上が負傷したと明らかにした。また、日本政府の支援で2016年に改修されたスビャトヒルスクの音楽学校が破壊されたと述べた。
・東部ルガンスク州のガイダイ知事は、露軍が同市とリシチャンスク間の橋を破壊したと発表。露軍は両市を孤立させ、ウクライナ軍の防衛を困難にする狙いだとみられるが、ガイダイ氏は両市間の連結は維持されているとした。
2022/5/22 (侵攻87日目)
・東部ルガンスク州のガイダイ知事は、ロシア軍が同州のセベロドネツク市に4方向から侵入を図ったが、ウクライナ軍が撃退したと発表した。
・ウクライナ検察は、ロシア軍が北部チェルニヒウ州に侵攻した3月、占拠した学校の地下室に住民350人以上を約1カ月間にわたり閉じ込め、ウクライナ側から攻撃を受けないよう「人間の盾」として使っていたと発表した。劣悪な環境で高齢者には死者も出たという。
*情報ソースは産経新聞や共同通信などの主要メディア