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【滞在歴6年のアラサー男が語る】「ハンガリーは住みやすい国なのか?」(人付き合い編)

 

複数のポイントからハンガリーの住みやすさを考える企画「ハンガリーは住みやすい国なのか?」の第2弾!今回は人付き合い編です!

人間関係はどこで生活するうえでも非常に重要な要因の1つです。

食事同様どんなにその国に憧れを持っていても現地の人といい人間関係を築くことができなければストレスで1か月ともたないでしょう。

そんな人付き合いについて考えてみたいと思います。

 

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食事編はこちらから読めます!

【滞在歴6年のアラサー男が語る】「ハンガリーは住みやすい国なのか?」(食事編) - ハンガリーから発信中

  

人付き合い ★★★★☆

1) ハンガリー人の日本に対する印象

ハンガリー親日国家です。

ブダペストでは年に2回"MondoCon"という大規模なジャパンフェスタが開催され、毎回多くの人でにぎわっています。

また、自動車会社のスズキが1991年にハンガリー現地法人を設立して、良質な車を販売し続けているため日本製品に対するイメージがいいです。

個人的には1度だけ日本に対してネガティブなイメージを持っている人に会いました。

以前勤めていた会社の忘年会で会ったハンガリー人に「日本では女性が道具のように扱われているって聞いたけど本当か?」という趣旨の質問をされました。初対面の人にいきなりそんなことを質問するのかと面喰ったのを覚えています。

どういう経緯でそういった情報を聞いたのかわかりませんが、日本に対してネガティブな印象を持っている人は0ではありません。ただ、圧倒的にいいイメージを持っている人が多いです。

 

2) ハンガリー人の性格

ハンガリーについて書かれた日本語の書籍を読むとハンガリー人は短気と書かれています。実際、これは当たっていると思います。もちろん全ての人が短気ではありませんが、短気な人は比較的多いと感じます。

個人的にはハンガリー人は助けてくれる人が多いと思います。

僕がハンガリーに移住する前に一度旅行でブダペストを訪れたのですが、予約していたエアビーのオーナーと連絡がとれず彼の物件の前で途方に暮れていた時に、2軒隣にあったレストランの従業員の1人が僕のもとに状況を聞きにきて、電話を無料で貸してくれ、そのおかげでオーナーと連絡を取ることができ事なきを得ました。

また、道を聞いても丁寧に答えてくれる人ばかりです。

 

3) 特徴的な人付き合い文化

これはハンガリーのというより欧米の文化ですが、友達や同僚との食事や遊びの場に恋人を連れていく風習があります。相手の友達や同僚を知らなくても問題ではありません。むしろ、連れていかないと恋人に対する敬意を欠いているとみなす人もいるようです。

個人的にはこの文化がかなり苦手です。

というのも、連れていくにしても、連れていかれるにしても自分や恋人が相手のことを全く知らなければ話していてもおもしろくありません。また、自分の友達や同僚の場に恋人を連れていく場合は恋人が退屈しないように身内ネタなどは話さないようにするので変に気をつかって逆に疲れます。

おそらく、そういった場に楽しさを求めること自体が間違っているのかもしれないですが、友達との時間はそういった気遣いなしに楽しみたいです。

 

4) ハンガリー語

若者は英語を話せる人が多いですが、アラサー以上で外国人と働いていないハンガリー人はあまり英語を話せない印象があります。なので、あいさつと数字と値段や道の聞き方、料理の注文の仕方くらいはそれほど難しくないので覚えておくと役に立つと思います。

以前、花屋にいったときに店員さんは英語を話せなかったため、僕のつたないハンガリー語でやりとりしたのですが、店員さんはとても喜んでくれ親身になっていい花束をつくってくれました。また、食事編でも登場したよく行くトルコ料理のレストランでは毎回同じメニューをハンガリー語で注文していたので店員さんが僕の顔とメニューを覚えてくれ、いつしかメニューをいわなくても顔を見ただけで「いつものね?」と聞いてくれ作ってくれるようになりました笑

そもそも、ハンガリーの言語はハンガリー語です。みんな英語が話せて当たり前というスタンスでいると意外と苦労するなと6年住んでいて思いました。基礎レベルでもハンガリー語を習得しておくとネイティブレベルの英語力よりも役に立つ場面が意外と多くあります。

 

【滞在歴6年のアラサー男が語る】「ハンガリーは住みやすい国なのか?」(食事編)

 

留学先や移住先の国を決める際に「住みやすさ」は重要な指標の1つだと思います。

どれだけ魅力的な国であっても自分にとって住みやすい国でなければ1か月ともたないでしょう。

そこで今回から数回に分けて在ハンガリー歴6年のアラサー男の筆者がハンガリーの住みやすさについて考えてみたいと思います。

 

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食事 ★★★☆☆

1) ハンガリー料理

ハンガリー料理は肉料理が中心です。

たまに食べる分にはいいのですが、それが毎日続くとなると胃がもたれます。

ハンガリーには海がないため、新鮮な海の幸を入手することはできません。大きなスーパーではエビやマグロ、サーモンなどを買うことができますが、値段はかなり張ります。

ハンガリーでは沼や川魚は比較的安く買うことができるので、ナマズ料理はハンガリーの名物料理としてガイドブックにも載っています。

 

2) アジア食品

アジア食品を扱った店がいくつもあるので、醤油などの調味料や袋めんなどは安く買うことができます。ただし、安く買えるのは中国ブランドのモノが多く、例えば醤油でいえばキッコーマンの醤油を購入することができますが、値段は少し張ります。中国ブランドの醤油は日本のと味がかなり違うので好き嫌いが別れると思います。

 

3) ファストフード

ハンガリーにはマクドナルドやバーガーキング、KFCといったおなじみのファストフード店はもちろん、ケバブやピザのお店もいたるところにあります。マクドナルドなどの世界的なフードチェーン店の価格は日本と同じなので日本円で払う分には変わりませんが、ハンガリーの通貨価値は日本円の約3分の1なのでハンガリーの通貨で払うと3倍払っている感覚なので割高感があります。それでも、毎日多くのお客さんでにぎわっています。

 

ケバブやピザはマクドナルドなどと比べるとかなり安く、サイズも大きいのでおなかが満たされます。僕も前の会社で働いていた時は目の前にトルコ料理のレストランがあり、そこで週に1回はケバブを食べていました。

 

それ以外のレストランだと、中華レストランは値段はそこそこで量がかなりあるのでおすすめです。

ただし、注文の仕方が独特なので注意が必要です。

最初に大きい皿か小さい皿を選び、ご飯か麺(焼きそばのようなもの)を選択します。そのあとおかずを選びます。通常はおかず1人前1品ですが、1人前1品だと量がかなりあって飽きてしまうので、注文時に2品選んで、"half"といって半人前ずつにしてもらい2品楽しめるようにしています。

もちろん1人前のおかずを2品以上頼むこともできますが、値段はその分あがります。

最後にスープやドリンクはいるかと聞かれますが、オプションなので断ることもできます。

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4) 日本食レストラン

日本食のレストランだとブダペストにある"Komachi"や"Biwako"は比較的安く日本料理を楽しめます。また、ブダペストに最近できた"Wafu"もかなり人気です。

上記3つのレストランでは寿司は提供していません。

 

本格的な寿司を食べたい場合は"奥山の寿司"がおススメです。

安くておいしい寿司を楽しみたい場合は"Kicsi japan"や"Itoshi"がおすすめです。"Itoshi"は寿司はもちろん餃子などの料理も時間無制限の食べ放題で楽しめます。ただし、曜日や時間帯によっては多くのお客さんでにぎわうので料理が運ばれてくるまでにかなり時間がかかることもあります。(僕は40分待っても来なかったことがありました)

"Sushiroll"という最近できた海苔巻きのお店もあります。こちらはファストフード感覚でおいしい海苔巻きを楽しむことができます。

sushiroll.hu - corvin

 

5) その他の国の料理

本格的なイタリア料理、インド料理やメキシコ料理、タイ料理を楽しめるレストランがいくつもあります!値段はピンキリですが、安いレストランであってもおいしいところが多いです。

 

6) 宅配サービス

ハンガリーにはウーバーイーツはありませんが、"Wolt"や"NetPincer"という宅配サービスがあります。使い方はウーバーと変わりませんが、ハンガリーではチップを渡す習慣があります。強制ではありませんが、小銭がある場合はチップを渡しましょう。

 

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ハンガリーで行われるユーロ2020の試合のスタジアム観戦について

 

欧州代表サッカーの祭典ユーロ2020が1年遅れでついに開催されました。

今回は記念大会ということで欧州の複数の都市で試合が開催されます。

ハンガリーブダペストでは4試合行われます。

 

多くの都市がコロナ対策のために観客はスタジアムの定員の20-30%しか受け入れず、観戦中のマスク着用も義務づけられているのですが、ハンガリーはワクチン接種が国民の半分以上終わっていることもあり、スタジアムの定員の100%観客をいれる決断を政府はしました。

 

ただし、スタジアムに入るためにはハンガリー在住者はワクチンを1回以上摂取していることを証明するカードを提示する必要があります。外国人は72時間以内のPCR検査の陰性証明書かハンガリーで認められているワクチンの接種証明書の提示が求められます。

両者とも試合前に所定の場所で提示をして、紙のリストバンドを受け取らなければなりません。試合当日はこのリストバンドと電子チケットが入った専用のアプリとIDカードがあればスタジアム内に入れます。

 

スタジアム内ではマスク着用を呼びかけるアナウンスはありますが、つけている人は皆無でペナルティーもありません。また、飲食物の販売も行われています。

 

 試合観戦後にコロナ感染が発覚したという事例はいくつか報告されており、その場合はその感染者の周りにいた人たちも2週間の隔離対象になります。

 

6月30日現在、大規模な集団感染の報告はありません。

 

 

ハンガリーのコロナワクチンの現状

 

ハンガリーのコロナウイするに対するワクチン接種の現状をお知らせします。

コロナワクチンの種類と接種の方法

ハンガリーでは現在以下の6社のワクチンを使用しています。

 

アストラゼネカ (イギリス)

ジョンソンエンドジョンソン (アメリカ)

ファイザー (アメリカ)

モデルナ (アメリカ)

スプトゥニク (ロシア)

BIBP (チャイナ)

 

接種は基本かかりつけの医師から受けるのですが、もしも自分が希望する会社のワクチンを医師が持っていない場合は入荷したら連絡をしてもらうか、希望のワクチンを持っている医師から受けることができます。(僕はファイザーを希望していましたが、かかりつけの医師が持っていなかったのでファイザーを持っている同じ区の別の医師から受けました)

 

接種のためには専用のサイトから予約しなければならず、その際にハンガリー社会保険番号が必要になります。社会保険番号はTajカードというものに記載されている番号です。

現在は社会保険番号を持っていない外国人も無料で接種が受けられます。

その場合の登録はこちらからできます。

vakcinainfo.gov.hu

 

予約時に希望の日時を選択できますが、早く着いたら予約時間まで待たずに打ってもらえるのでできるだけ早く行きましょう。(僕は1時間以上早く着きましたが、5分くらい待っただけですぐに打ってもらえました)

 

また、外国人は現地でパスポートの提示を求められるので必ず持っていきましょう。

 

接種後は2回目の接種日が記載された紙を渡されます。この紙は次回必要になるのでなくさずに保管しましょう。

その後、副作用がないか確認するため15分ほど別室で待機させられます。

このとき、特に体調に問題なければすぐに帰宅できますし、あればその場の医師に相談できます。

 

接種後の感想

接種自体は打ってくれた医師が上手だったので痛みは全くありませんでした。

その後、打たれた場所が筋肉痛になり、1-2日は肩があがらないくらい痛かったのですが3日目からは痛みは消えました

また、吐き気や頭痛などの副作用はありませんでした。

 

ただ、3週間前にスプトゥニクを打ったアゼルバイジャン人の友人夫婦は今も吐き気が止まらないといっていました。

 

 

ワクチン接種者数の増加に伴う制限措置の緩和

ハンガリー政府はワクチン接種者数の増加に伴い、今まで課していた制限を段階的に緩和しています。

 

400万人達成した際は以下の緩和が行われました。

免疫証明書の保有に有無にかかわらず…
・外出禁止時間は、午前0時から翌午前5時まで。(以前は午後8時からでした)
・お店(レストラン、カフェを含む)の営業時間は、午前5時から午後11時まで。


新型コロナウイルス免疫証明書の保有者のみ…
・劇場公演、サーカス、音楽・舞踏イベントを除く文化イベント、映画館、トレーニング・フィットネス施設、プール、温泉施設、アイススケート場、動物園、遊園地、文化施設(図書館、美術館、博物館)の利用 ※施設利用時にマスク着用義務はなし
・ホテル等宿泊施設の利用、宿泊
・レストランやカフェの店内での飲食 ※飲食時以外はマスク着用義務あり
・午後11時までに終了するスポーツ・文化イベントへの入場 ※施設利用時にマスク着用義務はなし

 

また、先日500万人に達成したため以下の緩和が行われました。

・夜間外出制限を解除する。
・お店(レストランを含む)の営業時間制限を解除する。
・公共の場でのマスク着用義務を免除する。
・公共の場(屋外)でのスポーツを可とする。
・参加人数が50人を超えないプライベート・家族イベントを可とする。
・参列者が200人を超えない結婚式(結婚披露宴)を可とする。
(この場合、開催場所となるホテルやレストランの運営者は、個室での開催となるよう手当てしなければならない)
・参加人数が500人を超えない屋外イベントを可とする。
(なお、屋内でのイベントについては、引き続き免疫証明書を保有る者のみが参加できる)
・音楽・舞踏イベントへの参加については、引き続き、免疫証明書が必要となる。
・16歳から18歳までのワクチン接種者については、大人の同伴なく、イベントへの参加を可とする。

 

今夏予定されているヨーロッパサッカーの大会ではほかの国がスタジアムの20-30%のみ観客を入れるのに対し、ハンガリーでは100%観客を入れる方針です。

 

 

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ハンガリーに関するニュースのまとめ (対日、対中、対EU、対メディアなど)

基本情報 

人口: 977万人 (2020年) 

出生率: 1.53 *上昇傾向

面積: 約9万3,000㎢ * 日本の4分の1

 

政治体制

大統領は任期5年で議会によって選ばれるが、首相を任命するなど、儀礼的な職務を遂行するのみの象徴的な元首。実権は議院内閣制をとる首相にあり、自ら閣僚を選んで行政を行う。

一院制民選で、任期は4年、定員は199人である

 

フィデス (与党) ー 中道右派キリスト教民主国民党KDNPと連立で133。
ヨッビク (野党第一党) ー 極右。議席数26。

社会党 ー 左派。議席数22。

 

産業

伝統的な産業ではアルコールが強い。特にワインは有名で、ブルゲンラント、ショプロン、ヴィッラーニなど著名な産地があるが、中でもトカイのトカイワインはワインの王と言われる。農業ではパプリカが名産品。ガチョウの飼育も盛んであり、ドナウ川西岸が主産地である。ハンガリー産のフォアグラもよく輸出されている。

ハンガリー固有種の豚、マンガリッツァは国宝の指定を受けて保護されているが、保護のために利用を禁じるのではなく、むしろ高品質の食肉として利用することを通じて飼育頭数を増やす方針を採っている。

 

世界観光ランキング (世界観光機関)

2019年 27位 1693.7万人 (日本: 11位 3218.2万人)

 

失業率

2020年 6.10 * 2019年 3.42 (2010年の11.17から大幅に減少していた)

 

日洪関係

日本とハンガリーの関係 - Wikipedia

 

マジャールスズキ - Wikipedia

ハンガリーが「ヨーロッパの自動車産業大国」に成長できた理由。駐日大使に聞いた | Business Insider Japan

 

秋篠宮さまと眞子さま、ハンガリーの農場を訪問 写真10枚 国際ニュース:AFPBB News

  

少子化対策

人口増加に執念、ハンガリーの「すごい」少子化対策 東アジア「深層取材ノート」(第69回)(1/4) | JBpress(Japan Business Press)

 

対中政策

中国がハンガリーで造る「契約10年機密」の鉄道:朝日新聞GLOBE+

ハンガリーとセルビアの首都結ぶ高速鉄道建設、中国が融資へ | ロイター

 

中国に近づく白人極右――コロナで強権化するハンガリーの「独裁者」(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

ハンガリー首相が「一帯一路」フォーラムに参加、中国との関係強化を確認(ハンガリー) | ビジネス短信 - ジェトロ

 

ハンガリーが中国人の移住を歓迎するワケ | ロイター | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

依存深刻、「中国マネー」に分断されるEU : 深読み : 読売新聞オンライン

 

新型コロナ: ハンガリー、中国製ワクチンを承認 EUで初: 日本経済新聞

 

 

 

ハンガリー首都で大規模デモ、中国名門大のキャンパス設置計画に抗議(ロイター) - Yahoo!ニュース

 

「EUから出て行け!」ハンガリーのLGBT新法が波紋 “中国依存”が加速も(2021年7月2日) - YouTube

 

EU関係

シリーズ「揺れるEUの結束」(2)ハンガリー ~EU批判の急先ぽうオルバン政権「安定」の裏~ | 国際報道2020[特集]|NHK BS1 ワールドウオッチング

 

EU、予算計画で代替策を準備-ハンガリーとポーランドが根強い反対 - Bloomberg

ポーランドとハンガリー、EU予算案を暫定受け入れ: 日本経済新聞

 

メディア

ハンガリー コロナ禍で「報道の自由」への懸念 | 国際報道2021 [特集] | NHK BS1

 

90%が政府寄りメディアのハンガリー - 小林恭子|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

 

ハンガリーで、大手メディアの70数人が編集長解任を巡って一斉辞任 報道の自由を求める市民デモも(小林恭子) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

報道規制法 - Wikipedia

ハンガリーの「メディア法」めぐりEU内で摩擦、欧州議会では即時撤回を求める声も | IT企業法務研究所 LAIT

ハンガリーの新メディア法 | 言論の自由についての討論

 

 

 

2020年のハンガリーにおけるコロナウイルスの状況

1、ハンガリーコロナウイルスは広まっていますか?

 

3月3日現在、ハンガリー国内でコロナウイルスの感染は確認されていません。

 

追記1)

 

3月4日にハンガリーで感染者が確認されました。

 

また、ハンガリーを旅行で訪れたアメリカ人が次の旅行先での検査で陽性反応がでるというケースも現れました。

 

追記2) 

www.news24.jp

日本でこのニュースが大きく報じられましたが、この15人の方たちは街を歩いていたら日本人だからいきなり検疫対象になったわけでなく、咳をしていたためホテルから自ら連絡したようです。

 

現在のところ、日本人は強制的な検疫対象にはなっていません。一方で、イラン人はなっています。

 

追記3) 3月12日現在、ハンガリーの感染者は16人(イラン人9、ハンガリー人6、イギリス人1)で、感染が確認されたイラン人たちは最初に感染が確認されたイラン人の留学生との接触が確認されています。そのため、イラン人は強制検疫の対象となり、拒否した場合はビザの停止などの措置がとられます。また、全ての大学が当面の間休校となり、授業はオンラインで行われるとのことです。

 

また、ハンガリー政府は緊急事態宣言をし、中国、韓国、イラン、イタリアとハンガリー間のフライトを停止し、オーストリアスロベニアとの国境間で検問を再開しました。

 

追記4) 3月20日現在、ハンガリー国内の感染者は85人(イラン人10、英国人1、カザフスタン人1、ハンガリー人73)です。

多くの会社で在宅勤務が取り入れられ、食糧品店や薬局等を除くお店やレストランは原則、午後15時から翌朝6時まで営業していません。また、いくつかのスーパーでは購入制限が設けられています。オンラインショッピングは一週間待ちなどになっています。

加えて、ハンガリー国籍所有者(配偶者も含む)以外の入国を禁止しています。また、65歳以上しか入店できない時間帯が設けられました。年齢確認のためにパスポートなどが必要です。

 

追記5) 4月27日より市内の公共交通機関(バス、電車、トラム、地下鉄)を利用する際には、マスクやスカーフなど鼻や口を覆うものの着用を義務付けることを発表しました。

 

追記6) 地方から徐々にロックダウンが解除され、ついにブダペストでもロックダウンが解除されます。ただし、ソーシャルディスタンスやマスク着用義務などは続きます。

 

health-note-hu.net

 

 

2、マスクの購入は可能ですか?

 

もともとハンガリー人はマスクをするという習慣がないため、ドラッグストアーではほとんど売っていません。薬局ではマスクを取り扱っているようですが、すでに売り切れてしまったようです。インターネットでも買えません。また、除菌用のジェルやシートも売り切れています。 

 

3、物品の買占めは起こっていますか?

 

イタリア北部での食品買占めの映像を受け、一部スーパーでは米やパスタ、缶詰等の買占めが起こっていますが僕が直接行ったスーパーではどこも買占めは起こっていませんでした。トイレットペーパー等の買占めもありません。

 

4、アジア人差別は起こっていますか?

 

全く起こっていません。フランスで起こっているような暴力的な差別はもちろんのこと、アジア系のレストランに落書きをするといった嫌がらせも発生していません。中華レストランの客足が減ったくらいです。ホテルでのアジア人客おことわりのニュースも今のところ聞いたことがありません。

 

ただ、SNSをみていると観光地では「コロナ」などと言ってくる人もいるようです。

 

 

 

5、入国状況はどうなっていますか?

 

日本からの入国は可能です。ただし、日本からの直行便はないためどこかを経由することになります。

 

入国状況に関しては日々変わるため外務省か在ハンガリー日本大使館に問い合わせることをおすすめします。

 

追記1) 3月20日現在、ハンガリー国籍所有者(配偶者も含む)以外の入国を禁止しています。

5日目 親と子供

 

自分が年をとるにつれて「死」について考えることが多くなった。自分が死んだらどうなるんだろう。もしも、彼女や家族が死んだら自分はどうなるんだろう。ただ、壊れゆく世界の行く末を見ずに済むからそれはいいことかなどと「死」についてあれこれ思考をめぐらせる。

 

母もたまに「死」について考え、すごくブルーな気持ちになるらしい。そんなときは、イチローみたいな人間もいつかは死ぬんだと考えると気持ちが楽になるそうだ。

 

人はいつか死ぬ。ただ、いつ死ぬかわからない。今日元気でも次の日に事故に巻き込まれてぽっくり死ぬかもしれない。だから、「死」について考えたって時間の無駄だ。それについて考えてブルーな気持ちになるぐらいなら彼女や家族、友達と過ごす楽しい時間のことを考えたほうがいろいろな面で有効だ。

 

家族とブダペストで楽しい時間を過ごせる日もついに最終日を迎えた。無事にホテルをチェックアウトした家族はタクシーで僕の家にきた。彼女の家族の家だが、居候させてもらっている。僕の暮らしぶりを見せると両親は安心していた。

 

帰りの飛行機の時間までまだ時間がある。路面電車で市街地に向かい市場やマルギレット島という人工島を散策した。父は"I love Budapest"などハンガリーにまつわることが書かれたシャツを買いたかったようだが残念ながらお眼鏡にかなうものはなかったようだ。

 

飛行機の時間が近づいている。

 

家の近くまで路面電車で戻り、スーパーで最後のお土産を買い、家に戻った。ところが問題が起こった。父が市場で買ったサラミを日本に持ち込めるかわからないのだ。肉製品は検疫が必要で申請しないで持ち込み、ばれた場合は犯罪になってしまう。仮に申請しても検疫を通過するかはわからない。大使館に問い合わせるとサラミの持込はできないようで、父はなくなくサラミを手放した。

 

空港までタクシーで向かう。母と彼女が隣で会話している。両親と彼女がうまくやれるかという最初にあった不安はすでになくなっていた。

 

母は自身の英語力はまだまだで彼女が自分の英語のレベルに合わせてくれているから会話が成立するといっていた。確かに、そうなのかもしれないが、本人がそう思うほど母の英語力は低くない。むしろ、流暢じゃなくても外国人とコミュニケーションを取れるほどの英語力を身につけた母の努力には驚きと同時に尊敬の念を抱いた。

 

タクシーが空港についた。長いようで短かった5日間の日程を全て消化した両親はハンガリーを発つ。空港での別れはどんな別れの場面よりも悲しい。目頭があつい。きっと「さようなら」といったらないてしまうだろう。

 

すると、父が近づいてきて「よくやってくれたね」と言ってくれた。その瞬間、こみあげるものを抑えることができなくなった。父はThe日本男児のような厳格な父親でめったにほめてもらうことはなかった。そんな父から「よくやってくれた」といわれ、気持ちを抑えることができなかった。母親とも別れの言葉を交わし、彼女と空港を後にした。

 

両親は無事に飛行機に搭乗し、日本に帰国した。

 

あれから3週間が経った。両親との5日間がつい昨日のことのように感じる。2人と歩いた道や乗った電車に1人で歩いたり乗るのはなんか不思議な気分だった。

 

2年ぶりにあった僕を両親はどう思っただろう。彼らの目には少しはたくましく映っただろうか。それとも、まだまだ僕は2人にとっては子供だろうか。

 

両親はもう二度とこれないかもしれないといっていた。確かに、ハンガリーまでの飛行機代はやすくはないし、宿泊代や食費などもかかる。だから、僕がもっとお金を稼いで今度は僕がチケットを買って2人をハンガリーに招待しようと思った。そのときは妹や祖母も一緒に。

 

来年、免許の更新のために日本に帰る。きっと、日本を発つときにはまた泣くのだろう。男が泣くのはみっともないが、そのときだけは許して欲しい。それ以外に僕の親への最大限の気持ちの表し方が見つからないからだ。

 

4日目 大人とこども

 

父のスマホ写真のスキルは少し上達していた。4日目の朝も日課となっているホテル近くのレトロな駅に行き、駅や電車の写真を撮ったようで見せてくれたが、写真の質は最初よりもあがっていた。

 

この日はブダペストの隣にあるグドゥルーという街に行くことにした。ここにはバイエルン王国出身でありながら政略結婚のためオーストリア=ハンガリー帝国ハプスブルク家のヨーゼフ1世のもとに嫁いだものの、オーストリアでの宮廷生活になじめず旅行先で訪れたハンガリーを気に入り、晩年をハンガリーで過ごしたためハンガリー国民に絶大な人気があるシシーことエリザベートが過ごした宮殿がある。宮殿といってもウィーンの宮殿とは違って非常に質素なものだ。

 

雨の中、電車でグドゥルーに向かう。ハンガリーの電車に乗ってみたかった父は車窓から景色を楽しんでいた。1時間ほどで隣町につき、徒歩30秒の宮殿に到着した。シェーンブル宮殿とはまた違ったよさのあるグドゥルー宮殿を2人とも楽しんでいた。

 

宮殿内のお土産やさんに行く。テストのため一緒にこれなかった彼女へのお土産と両親にシシーが描かれたしおりのプレゼントを買い、店を出ようとすると入口に設置されている万引き防止用のゲートのアラームが作動した。日本は万人はいい人なので万引きなどする人はいないという性善説に基づいた社会のため店に万引き防止用にゲートなどない。一方でヨーロッパは万人は悪人であるという性悪説を基本とする社会なので入口にはゲートがあり、万引きをすると商品についたタグが反応しアラームが作動する。会計時にこのタグを店員が取るのだが、財布などの場合はタグが内蔵されていて取れないので専用の機械でタグを無効にする。ところが、タグを無効にしてもしばらくすると有効になってしまうようで、アラームが作動してしまう。しかも、その財布を売っている店以外でもアラームが作動するので、スーパーでもゲームショップでも財布とは全く関係のない店でアラームが作動する。そして、その都度バックを開け盗っていないことを証明し、財布をゲートにくぐらせ財布が原因であることを示す。毎回この「私は万引き犯ではない」くだりをやらなければならない。最初はアラームがなると逮捕されるのではないかと戦々恐々としていたがいまや慣れたもんである。

 

宮殿をあとにし、ブダペストに再度電車で戻り、オペラ座を見学することにした。外からオペラ座を見たことはあったが、中を見学したことはなかった。オペラ座見学にも英語のガイドがいて、説明してくれる。英語を上達したい母は熱心に説明に耳を傾けていたがガイドの英語が速かったり、単語がわからなかったりでわからないところがあったようでもっとリスニング力をあげないとと改めて誓っていた。

 

テストが終わった彼女が合流し、夕食を食べに僕の一番お気に入りのレストランに2人を案内した。いつもは観光客でごった返していてなかなか席を取れないのにこの日は運よく席をとることができた。ハンガリー名物パプリカの粉を使ったスープグヤーシュやビーフシチューなどを注文した。2人とも大満足していた。自分が好きなものを相手も気に入ってくれたときはいつだってうれしい。自分の味覚が認められた気分になる。

 

いよいよ明日は最終日だ。明日の夜にはもう2人はブダペストにいない。4日間朝から晩まで毎日一緒にいたからだろう、2人と会うのは当たり前のことになっていた。だからこそ、2人と次の日の夜にはもう会えなくなることを考えると急に寂しくなりふたりと別れたあとの路面電車の中で少しだけ泣いた。きっと、空港で見送るときは号泣だろうなと思った。いつだって空港での別れは苦手だ。そういえば、3年前に親元をはなれ初めてハンガリーに来た日の夜、ベッドの上で急に寂しくなり号泣したことを思い出した。

 

ヨーロッパでは家族と毎日メールしたり電話するのは普通だ。なので、僕が1月に1回しか電話しないというと家族と仲悪いの?とよく聞かれる。フランスに1年留学していたときは全く連絡せず、帰国前日に母に次の日に帰ることを伝えようと電話をしたら声を忘れられていて「どちら様ですか?」といわれた話をすると変だとよく言われる。

 

もちろん家族と仲が悪いわけではない。日本とヨーロッパでは家族との距離が違うのだ。自分が親になり、子供が親元を離れたときに自分は子供とどんな距離で接すればいいのだろう。心配だからと毎日連絡したらきっと子供から鬱陶しがられるだろう。だから、適度な距離で適度な回数連絡すればいい。子供は自分自身で親のありがたみに気づく。そして、自分から親に優しくしよう、大切にしようと思うようになる。僕や妹がそうであったように。きっとこれが大人になるということなんだろう。

 

明日は最終日。最後までいい思い出をつくってほしいと心のそこから思った。

3日目 ウィーンと待ちぼうけ

 

父が朝食のバイキングを食べ過ぎたようでトイレからなかなか出てこなかった。ウィーン行きのバスの出発時間が迫る。焦りながら彼女と母と3人で待っているとようやく父が来た。

 

バスに乗り、ウィーン行きのバスが出るステーションまで向かう。その道中、母が朝食バイキングでほかの観光客と話したが「ウィーンに行く」と英語で伝えても全く理解してもらえなかったというストーリーを話した。無理もない。日本語では「ウィーン」だが、英語では"Vienna"という。そう伝えると母はドナウ川をドナウリバーとは言わないと伝えたとき以上にびっくりしていた。

 

ブダペストからウィーンまでは3時間の道のりだ。車内では父は爆睡し、彼女は翌日のテストに向けて勉強をしていた。僕と母は妹のことや祖母のことなどを話した。両親はこの旅行に妹も誘い、チケット代も出してあげるといったようなのだが、両親にお金のことで迷惑をかけたくない妹は断ったようなのだ。祖母はもういい年なので長時間フライトには耐えられない。祖母にももう2年会っていない。バスの中から電話をかけることにした。

 

「もしもし?」久しぶりに聞く祖母の声だ。元気そうだ。元気であることと来年日本に行くからそのときに遊びに行くことを伝えて電話を切った。

 

バスは時間通りにウィーンに着いた。バスを降りて、タクシーでシェーンブル宮殿に向かう。父が宮殿を見るなり「ディズニーランドのホテルに似ている」といった。親子というのは感受性が似るのだろう。僕の初めてシェーンブル宮殿を見たときに全く同じことを言った。

 

チケットを買い、時間まで昼食をとることにした。オーストリア料理はいろいろなタイプがあるが「シュニッツェル」というとんかつがある。僕はこれを「わらじかつ」と呼ぶと父は興味を示したようでわらじかつを食べようかと言っていた。ところがいざメニューを開くといろいろな料理に目移りし、ひとつに決められず結局直前になってあわてて選んだのはパイ生地に野菜などが入ったビーガン料理だった。父のフォークはあまり進まない。きっとおいしくないのだろう。僕が頼んだわらじかつを半分渡すとよほどわらじかつがおいしかったのかあるいはパイ料理がまずかったのかパクパクと食べ進めすぐにたいらげた。

 

庭園を散策し、宮殿内の見学の時間になったので入口に向かう。豪華なつくりの宮殿に両親は圧倒されていた。

 

2時間ほどかかり見学を終えるとすでに時計は3時を指していた。市街地にむかい散策することにした。ウィーンにも王宮はあるので手始めに王宮に向かう。道中、足を休めるためにカフェに入った。ところが待てど暮らせど店員さんが来ない。こちらから合図をしても全く気づかない。いや、もしかしたら気づいているのかもしれないが他の客への対応で手一杯なのかもしれない。20分待っても注文を取りに来ないのでカフェを後にし、王宮に向かった。ヨーロッパには日本の飲食店のように店員さんを呼ぶためのボタンがない。あるとどんなに便利なんだろうかと毎回思う。

 

王宮で写真を撮り、お土産やさんが軒を連ねる通りを散策する。ブダペスト行きのバスの時間が迫っていた。バスステーションまで歩いていくことにした。約1時間の道のりだ。僕にとってはなんてことないのだが、齢56の両親、特におしゃれなデッキシューズを履いていた父にとっては長い道のりだ。道中、父は何度も「ウィーンの路面電車に乗ってみたい」と連呼していた。そこで一度路面電車でバスステーションの近くまで行くことにした。ところが、待てど暮らせど路面電車は来ない。バスの出発の時間は刻々と迫っていた。このままではバスに乗れない。やむを得ず歩くことにした。

 

バスが出発する5分前になんとかステーションについた。みんなくたくたになっていた。店員さんがすぐ来ない、電車が時間通りに来ないというある意味ヨーロッパの洗礼を受けた両親だったがウィーンでの時間を満喫したようである。

 

バスの中では4人とも爆睡し無事にブダペストに着いた。明日は4日目。両親がここに滞在するのもあと2日だ。両親が来るまでは両親と会う実感がわかなかったが、今度は両親がハンガリーを発つ実感がわかなかった。きっと最終日まで実感などわかないのだろう。両親と別れ、彼女と家に帰った。

2日目 父とハンガリー

 

両親に会うのは実に2年ぶりだ。2年前は僕が免許の更新のために日本に帰り再会した。あれから2年。昨日、空港で久しぶりに見る両親の顔は変わっていなかった。ただ、少し照れくさかった。

 

彼女と待ち合わせ場所のホテルのロビーに時間通りに到着する。2人ともぐっすり眠れたようだ。今日はまず国会議事堂の中を見学する。ブダペストの観光スポットで最も人気のあるスポットだ。残念ながら日本語のガイドはなかったので英語のガイドを予約した。ただ、母は英語を鍛えることができるのでうれしそうだった。

 

2人ともよく眠れたが時差ぼけのためなのか早く寝たためなのか朝4時ごろに目が覚めたようで時間をつぶすためにホテルの周辺を2人で散策したらしい。近くには昔ながらの大きな駅がある。日本のCM撮影にもたまに使われる。中に入ると大きな掲示板があり電車の発着時間を知らせてくれる。時間がわかると"パタパタ"と音を立てて、時間が表示される。この掲示板は電子掲示板ではない。父はこの昔ながらの駅と電車がひどく気に入ったらしくたくさんの写真を撮っていた。そして、滞在中毎日この駅に行っては写真を撮っていた。

 

ただ、スマホの操作になれていない父が撮った写真はぶれていたり、指がはいっていたり、焦点があっていないものがほとんどだった。これはこれできっといい思い出になるのだろう。写真だけが思い出を残すための手段ではない。実際に自分の目に焼き付けたものは写真以上の思い出になる。

 

国会議事堂に早く着きすぎたので、近くにあるバシリカを見学した。それとスーパーにも寄った。両親はハンガリーのスーパーがかなり興味深かったようでいろいろな商品を見ていた。また、パン職人の父はスーパーで売られているパンに釘付けになっていた。ハンガリーのパンの中で"キーフリ"という三日月形のパンがある。もちもちしておいしい。値段も5円程度である。このパンを2人に勧めると2人とも気に入ったようで「おいしい」と言っていた。

 

国会議事堂の見学も無事に終わった。母は英語ガイドの英語が速くてあまりわからなかったようでリスニング力を鍛えなきゃダメだと痛感したらしい。母に「ドナウ川は英語ではドナウリバーとは言わない。英語ではDanubeという」と伝えると驚いていた。ちなみに、「ハンガリー」は英語では"Hungary"だがハンガリー語ではハンガリーとは言わないことにも驚いていた。

 

ディナークルーズまで時間があるのでお土産やさんが並ぶ通りを歩くことにした。道中、父が「温泉に行きたい」といった。ハンガリーはヨーロッパ1の温泉大国だ。ブダペストには多くの温泉がある。ただ、日本の温泉とは違う。日本では男女別で裸で入り、ゆったりとした時間を過ごし心も身体もリフレッシュする。一方、ハンガリーの温泉は男女が水着を着て入り、みんなでわいわいして楽しむ。日本のナイトプールのようなイメージだ。なので、父がイメージしている温泉とは天と地のさであることを伝えたが父は言ってみたいと言い続けていた。そこで一番有名な温泉に行くことにした。ロビーには多くの若者がいてにぎわっている。明らかに日本の温泉とは違う。水着着用が義務なのだが、水着を持っていない父はふんどしでもいいか係員に尋ねてくれないかと言ってきた。言われたとおり聞くと、鼻で笑われた。そんな客は門前払いである。

 

ディナークルーズの時間が迫ってきたので温泉をあとにし、船が出発する場所に向かう。雨が降り始め、強くなってきた。時間通りにつき、船に乗る。席は舞踊ショーが行われるステージのまん前だった。ショーはまだ始まっていなかったが、おじさんが木琴を弾いていた。続いてバイオリンを持ったおじさんが来た。彼は僕らを見るなり「日本人ですか?」と尋ねてきた。父はなんでわかるのか自身の胸に日本の国旗のピンバッジが光っているのを忘れ、不思議がっていた。

 

船が出港し、料理が運ばれてくる。おいしい料理に舌鼓を打っているとハンガリーの民族衣装をまとった女性がマイクを持って登場し、ハンガリーの民謡を歌い始めた。コンサートが好きな父は特に喜んでいた。

 

突然父が笑い始めた。隣の席にいた人の顔が志村けんに似ていると言い出した。相手にばれないように斜め前にいる志村を見ると確かに似ていた。親子3人で志村けんに似ている人を見て笑う。その光景を彼女は理解していなかった。志村けんの写真を見せ、斜め前の人物が似ていることを伝えると苦笑いしていた。ハンガリー人にはわかりづらい冗談のようだ。

 

料理もショーも終わり船は出港した場所を目指しゆっくりと進んでいた。クルーズももう終盤だ。船のデッキに出て写真を撮り、スタッフに渡されたアンケートに答える。僕も父も満点だったが母と彼女は料理をのせたお皿がところどころ割れているのに気づき、「お皿を変えるべきだ」とコメントを書いていて、減点していた。女性陣は手厳しい。

 

船が波止場に着いた。今日の予定は全部終了した。明日はウィーンに行く。両親の海外旅行も明日で折り返しの3日目だ。ウィーン行きのバスは朝早く出るので早めに集合することを伝え2人と別れた。